心にナイフをしのばせて
心にナイフをしのばせて
奥野修司
文藝春秋
2009年4月
325ページ
¥586(税込)
怖い表紙です
1969年、神奈川のサレジオ高校で起きた、当時高校一年生であった被害者である同級生を滅多刺しにし首を切断し殺害。その首を蹴飛ばしたという衝撃的な事件を、取材記録を基に書かれた本
首を切断しての殺人と聞くと、神戸の「酒鬼薔薇事件」を思い浮かべますが
これは、今から45年も前に起こった少年犯罪
この当時は特に少年による犯罪にはありえないほど寛容でした(今もですが)
そして被害者家族には何の保証もされない・・・
事件後の被害者家族は、自殺や一家離散、惨憺たる実情だと知らされました
何の落ち度もない被害者家族の苦しみ
小泉内閣以降の現在は、こうした被害者家族へのケアや保障の見直しがされ
法案が改正されたと聞いた事がありますが
このサレジオ高校の事件はあまりにも理不尽
殺人犯の親は、家族に対する賠償金を途中で止めてしまい
当時高校生だった殺人犯の少年は、あろうことか国から
「更生」という「支援」をもらい
大学院まで進み弁護士となって社会に復帰します
弁護士事務所を構え、収入が多分にあるにも関わらず
「何故、自分が稼いだお金を被害者家族に払わないといけないのか?」
といい、全く反省もなかったそうです。
人を殺した本人は結婚し、子供がいる・・・人の親になっているのにね
でもね・・今はネット社会です
少年犯罪であろうとなかろうと、実名や顔写真はすぐに暴露されます
個人には、憲法で保障された人権の尊重がある
法治国家の日本で生きている私は、ネットから派生した制裁が
それが良くないというのは分かってます
ですが、何十年たっても反省の色がない、教育刑を科して社会に放出されたにも関わらず表面的に変わっても中身は全くも変わらない人間に対しては、未成熟な少年時代に犯した罪であっても分別の出来る思考を持った人間です
大人になっても心を持たない人間には
何らかの制裁は必要ではないのか?って考えます
実際、サレジオ高校の犯人は、ネットで拡散された情報から暴露され
昨今になりやっと、ある程度の制裁を受けているみたいです
感情論なので賛否両論はあるかと思いますが
このジャーナリストが事件後の年月が経ってから
実際に、その後の犯人や被害者家族に直に対面し
取材して得たものが世間に「本」という形で真実を伝えてくれた事が
私達が知らなかった真実を公表してくれるのは良い事だと私は感じています。