春の雪 豊饒の海
春の雪 豊饒の海(一)
新潮社
2013年7月
475ページ
¥724(税込)
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三島由紀夫、最後の遺作である長編4部作の第1作目の「春の雪」です
ご存じの方が多いと思われますが
三島は1970年、市ヶ谷(現防衛相)で割腹自殺をされ自害しました
私は三島作品が好きです
本当に美しい文体で書かれます
著者本人は、純粋でロマンチストで繊細な方だったのでしょう
それが故に、当時の時代背景もあり、日本男子の不甲斐なさに嘆き
彼の後期に至る作品、そして最晩年に書いたこの「豊饒の海」シリーズには
色濃く心情が投影されています
この4部作は
人の生まれ変わり「輪廻転生」が題材になっております
主人公である「清顕」の真っ直ぐで清らかが故に非業の生と死を巡る魂に
友人の「本多」はどんな世代でもどんな国でも
「清顕」の魂の宿った人間を見守り・・・
そして「始点」に戻り・・・
4部作を読み終えた最後には
三島が最後に帰依していた、仏教の「真理」が
たゆまず私達に疑問を投げかけてくれます
自分が年老いて、死ぬまでを理解するための「宿題」を出されたような気がするのは私だけでしょうか?