マクベス
新潮社
1969年9月
162ページ
¥432(税込)
言わずとも知れたシェイクスピア作品です
私は学生時代、英文学を専攻していたのでシェイクスピア作品はほぼ読みました
マクベス王の苦悩
解説ではこうあります
「かねてから、心の底では王位を望んでいたスコットランドの武将マクベスは、荒野で出会った三人の魔女の奇怪な予言と激しく意識的な夫人の教唆により野心を実行に移していく。
王ダンカンを自分の城で暗殺し王位を奪ったマクベスは、その王位を失うことへの不安さから次々と血に染まった手で罪を重ねていく・・・」
シェイクスピア4大悲劇中でも最も密度の高い作品です
マクベスが対峙する「善」と「悪」との葛藤
まるで劇中にいるように引き込まれます
いつの時代でも、権力者が陥る疑心暗鬼が及ぼす悲劇は避けられない事なのか
近代になっても良く似たことが現実でも多々起こってます
あらゆる手を使って指導者となった旧ソビエトのスターリンは、トップに登りつめた途端、側近達のほとんどを暗殺や追放したりと粛清した
スターリン自身がやってきた同じ事を自分もされるのではないか・・・との不安から
いつの時代でも貧富の差や地位の差はあれども
押し並べて、人間とは弱い生き物
自分の本質の弱さを理解し、守るべき人の為に命をかけられる人間が、本当の強い人間になれる瞬間なのだと、私は常に思っています
マクベスは、本当は不安で臆病な自分を認めようとせず
強い王であらねばならなかった
あるシーンでは、全く立場が違っても
自分と重ね合わせてしまう場面もあります
こういう作品を次々に書いてしまう、シェイクスピアは本物の天才ですね